企業で共育
よくある質問
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「共育(トモイク)プロジェクト」とは何ですか?
「共育(トモイク)プロジェクト」とは、共働き・共育ての推進のため、「職場」や「家庭」において誰かひとりが負担を抱え込むいわゆる“ワンオペ”の実態を変え、男女ともに誰もが希望に応じて仕事と家事・育児を両立し、「共に育てる」に取り組める社会を目指す、厚生労働省の広報事業です。
平成22年度より実施してきた「イクメンプロジェクト」の後継事業として、令和7年7月よりスタートいたしました。
「イクメンプロジェクト」における約15年間の活動や累次の法改正を経て、男性の育児休業取得率は40%を超えました(※)が、育児休業取得期間や家事関連時間には男女間で大きな差があること、職場における男性の長時間労働が見直されていないといった課題は 依然として残ったままです。
このため、引き続き男性の育児休業の取得促進を図りながら、育児休業の取得を男女の家事・育児分担見直しの具体的な「きっかけ」とすること、男性の家事・育児参画を阻害している「長時間労働の是正」等に取り組み、「職場」も「家庭」も"脱ワンオペ”を図ることによって、家庭だけではなく職場、ひいては社会全体で共に子育てすることを目指して「共育(トモイク)」と名付けました。
※令和6年度雇用均等基本調査 -
「イクメンプロジェクト」との違いは何ですか?
「イクメンプロジェクト」は、主に、男性労働者が育児をより積極的に行うことや育児休業を気兼ねなく取得できるよう、社会的機運の醸成を図ることを目的とした広報事業でした。
一方、「共育(トモイク)プロジェクト」は、引き続き男性の育児休業の取得促進を図りつつ、特に”企業”へのアプローチを主軸に、「共育て」しやすい雇用環境・職場風土の改善等に積極的に取り組めるよう、共働き・共育て推進の社会的機運の醸成を図ることを目的とした広報事業です。 -
育児の脱“ワンオペ”はわかりますが、職場の脱“ワンオペ”とはどういう意味ですか?
「家庭」の"ワンオペ"とは、家事・育児のほとんどをひとりで行うことを指します。男性の育休取得率は近年大幅に上昇しているものの、取得期間をみると、女性の9割以上が6か月以上の育休を取得しているのに対し、男性は4割弱が2週間未満であり、短期間の取得が中心となっています。
6歳未満の子がいる世帯で、夫も妻も雇用されている場合の1日あたりの家事関連時間を比較すると、令和3年において、妻は夫の3倍以上あり(※)、育休を取得する男性が増えているにもかかわらず、女性の家事・育児負担は変わっていない(女性に家事・育児負担が偏っている)現状があります。時にはサービスを活用しつつ、夫婦・家族や友人等みんなで支え合い、ひとりに家事・育児の負担が偏らない環境を作ることが「家庭」の"脱ワンオペ"につながります。
※総務省「社会生活基本調査」(妻:6時間32分、夫:1時間57分)
「職場」の"ワンオペ"とは、誰かひとりが仕事の負担を抱え込んでしまう状況を指します。
仕事をシェアし、属人化させない(その人にしかできない業務を作らない)ことが職場の脱“ワンオペ”です。 「職場」の"脱ワンオペ”を図ることで、仕事と家庭を両立したい子育て世帯にとってはもちろん、誰にとっても働きやすい職場につながります。
共に育てる社会の実現には、男性の家事・育児参画を阻害している要因の1つである職場の「働き方」を見直す等の「職場」の"脱ワンオペ"を行っていくことが重要であり、結果的にこれが「家庭」の"脱ワンオペ"にもつながると考えています。 -
企業として「共育(トモイク)」に取り組むメリットは何ですか?
企業が「共育(トモイク)」に取り組むことで、従業員は、仕事と家庭(プライベート)を両立し、安心して子育てやプライベートを充実させることができます。
若い世代は、将来もし自分に子どもが生まれても仕事を続けられるという安心感を持つことができ、離職防止にもつながります。
深刻な人手不足により人材獲得競争が加速する今、仕事と子育てやプライベートを両立しやすい職場環境を整えることは、優秀な人材の確保・定着に寄与することが期待されます。 -
「共育」に取り組む企業への経済的支援はありますか?
従業員の育児休業の取得促進等、仕事と育児の両立がしやすい職場環境づくりに取り組む企業への支援策として「両立支援等助成金」があります。また、生産性を高めながら労働時間の縮減や賃金引き上げ等に取り組む中小企業・小規模事業者等に対する支援制度もあります。詳細はこちらをご覧ください。
「両立支援等助成金」
● https://www.mhlw.go.jp/content/001472912.pdf
「働き方改革推進支援助成金」
●https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/jikan/index.html
「業務改善助成金」
●https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/koyou_roudou/roudoukijun/zigyonushi/shienjigyou/03.html#%E5%88%B6%E5%BA%A6%E6%A6%82%E8%A6%81 -
国が男性の育児休業を推進している背景、理由は何ですか?
勤労者世帯の過半数が共働き世帯になっている中で、子育て期の父親と母親がともに子育ての喜びを感じ、その責任を果たしながらやりがいや充実感を持って働き続けられる社会の実現を目指すことは大変重要です。
しかし、男性の家事・育児時間は先進諸国と比べて短い状況にあります。
その結果、女性に子育てや家事の負担が偏り、女性の継続就業やキャリア形成を困難にするとともに、第二子以降の出産意欲にも影響を及ぼし、少子化の原因になっているとの指摘があります。
こうした状況を踏まえ、女性の仕事と子育ての両立の負担を軽減し、継続就業や円滑な職場復帰・キャリア形成を図るため、また、男性の育児参画の最初の重要な契機とするため、国は男性の育児休業の取得を促進しています。 -
男性の育児休業は、企業として認めなければならない制度なのですか?
性別にかかわらず、育児休業は「育児・介護休業法」に定める要件を満たした労働者が申し出ることにより取得することができますので、男性労働者から申し出があった場合は、取得させなければなりません。
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労働者からの育児休業の申し出を拒否した場合、何か罰則はありますか?
この場合に適用される法令は「育児・介護休業法」であり、それ自体には罰則規定はありませんが、育児・介護休業法の要件を満たす労働者からの申し出を拒否することは法違反となります。
この場合、各都道府県労働局雇用環境・均等部(室)による行政指導(助言・指導・勧告)の対象となります。
なお、法違反の事業主に対して勧告を実施した場合にその勧告に従わなかった場合はその旨が企業名とともに公表されることとなります。 -
育児休業制度について就業規則等に定める必要はありますか?
育児休業や介護休業は労働基準法上の「休暇」に該当し、就業規則の絶対的記載事項です。また、育児・介護休業法に基づく指針でも、予め就業規則に定めておくべきとされています。
休業中や復職後の賃金等待遇についても記載しておく必要があります。トラブルを防止し、安心して休業の申し出ができるためにも、規定の整備が必要です。
なお、規定がなくても、法の要件を満たす労働者から申出があれば、休業させなければなりません。 -
現状として、男性従業員の育児休業取得が進んでいないのですが・・・
企業は本人又はその配偶者が妊娠・出産等を申し出た労働者に対し、育児休業制度についてその内容を個別に周知するとともに、制度利用の意向を確認することが義務付けられています。
労働者が利用の申し出をした場合に事業主はこれを拒むことはできません。 また、従業員が育休を取得しやすい雰囲気づくりも非常に重要です。育休取得促進のヒントはこちらをご覧ください。(https://tomoiku.mhlw.go.jp/assets/pdf/manual2023.pdf) -
男性従業員が育休を取得すると、企業としての業績が低下してしまわないか心配です。
従業員が育休を取得する前に職場に取得時期・期間等をよく相談できる環境や計画的に業務の引継ぎを行える環境づくりだけでなく、業務の属人化を防ぐ等、日頃から「職場の“脱ワンオペ”」に取り組むことが重要です。
業務の属人化を防ぐことで、産休・育休、けがや病気等でいつ誰が抜けても生産性を維持しやすいオペレーションが生まれ、結果的に、従業員が仕事とプライベートを両立しやすい職場環境を整えることにつながります。
深刻な人手不足により人材獲得競争が加速する今、仕事とプライベートを両立しやすい職場環境を整えることにより、優秀な人材の確保・定着が期待されます。 -
男性従業員に育児休業を取ってもらいたいのですが、休業中の経済的な面が心配です。
育児休業期間中の賃金の支払いは、お勤め先により異なります。休業期間中賃金が支払われない、または一定以上減額される場合には、雇用保険から最高で月額67%が支給される「育児休業給付金」があります。
また、育児休業期間中は、社会保険料(健康保険、厚生年金保険)が本人負担、事業主負担分とも免除されます。
さらに、両親ともに子の出生直後の一定期間に育児休業を取得すると「育児休業給付金」と併せて支給される 「出生後休業支援給付金」もあります。詳しくはこちらをご覧ください。